[船井郡]
河童の呼称

この辺りでは、河童のことを「ガタロ」とか「ガタロー」「ガタロウ」などと呼んでいる。

河童に関する言い伝え
この辺りには、次のような河童に関する言い伝えがある。
●「盆の十六日に川に入ると、ガタロに足を引かれる(尻を抜かれる)」といって、この日は川に入らない。
●ガタロに引かれるのは、大人よりも子供の方が多くて、水の中に沈みながら、ニコニコ笑っている時は、ガタロに尻を抜かれた時である。
●ガタロに出会った時は、お辞儀をするに限る。なぜなら、お辞儀をすると、ガタロは頭の上の皿に蓄えている水がこぼれてしまい、力が出なくなるからである。

[船井郡園部町]
鼈が人を引く理由

ガタロ(河童)とスッポン(鼈)とは兄弟分で、どちらも、人を水の中へ引き込んで尻から血を吸う。
昔、小山にある池へ、二人の子供が菱を取りにきて、一人が池の落ち込んだ。
そこで、もう一人が助けを求めに走って、部落の人たちを連れて来たが、その時には、落ち込んだ子はスッポンに尻から血を吸い取られていた。
なんでも、この池に住んでいるスッポンは、毎年八月の何日か迄に、この池の弁天様に人間の肝を差し上げなければならないことになっていて、万一、期限までに肝を差し上げられない時には、この池に住むことができなくなる。
だから、スッポンは、この池で人を引っ張り込もうと待ち構えているのである。

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